「この和室、どうしたらいいと思いますか」。
山の上にあり、海が見えて、風が吹き抜ける。
そんな素晴らしい立地の和室をアトリエに改装する計画がスタートしました。
BACKGROUND
仕事と趣味を兼ねて、アトリエが欲しいという、Tさん。
20年近く空き家だった家を購入しましたが、古い和室には、前の住人のものが残っているような状態。
「和風なアトリエもいいよね」「でもやっぱり洋風も魅力的」なんて話は弾み、アイデアも膨らみます。
WISH
「仕事も趣味も順調に、1人の時間も、友達が来た時も、両方充実するような空間ができますように。」
そんな願いを込めて、アトリエ作りのスタートです。
CONCEPT
ゆったりできる
普段は都心で働くことも多いオーナーさん。その環境とは一線を画し、全く別の環境で、好きなことに打ち込める環境作りを行います。
想像が膨らむ
真っ白なキャンバスをイメージして、仕事も趣味も、想像力を掻き立てるような空間を作りたい。そんなイメージで製作を行います。
会話が弾む
思わず人を招待したくなる、ついついアトリエの話をして盛り上がる、そんな「生活に更なる潤いを与える場」を作ります。
POINT
4点の絶妙な配置の窓
窓を1つの壁に4個配置することで、窓から海が、最大限見えるようにデザインしました。
窓の面積が多くする=構造強化が必要
窓(開口部)の面積を広くするということは、構造的に弱くなるということです。
計算し尽くされた構造
構造的に補強するために、①窓自体を構造体にする、②柱付きのベランダを構造体に組み込む、の2点を実施することで、元の家よりも断然強い家が出来上がりました。
半円窓、左右の縦長の窓、の合計3点を震度6にも耐えられる部材で製作しており、且つ束(つか)や筋交い(すじかい)で柱と固定し、耐力壁となるように設計・製作しました。
美しい勾配天井
もとの天井は、フラットで低い、和室の天井でした。これを解体したところ、出て来たのは、傾斜が緩やかな、あまり美しくない角度の天井。
そこで、屋根とは別の角度で、最も美しい角度の天井を計算。
この家において、最も美しい勾配(角度)で天井を作り直しました。
「想像力をかき立てる」真っ白な漆喰壁
この海を最大限美しく見せるには、「真っ白な漆喰壁」。そういった結論になりました。
海の風を感じながら、「真っ白なキャンバス」をイメージした白い美しい壁に包まれる空間は、想像力を刺激してくれるはずです。
使い込みで美しく
真っ白な漆喰壁を、使い込んでいくのも、アトリエの醍醐味です。大切に使いながらも、少し飛んでしまった絵の具の色もいい味になり、唯一無二の空間になって行きます。
作品の展示にも
また、真っ白な背景なら、どんな作品も展示した時に美しく魅せることができます。