モルタルアート(モルタル造形)で作る空間を作るには?|実例5選|費用相場|依頼先|DIYでの作り方|メンテナンス方法

目次

モルタルアート(モルタル造形)とは?

モルタルアート(モルタル造形)とは、粘度の高い「造形用モルタル」を使用して、石・岩・レンガなど、様々な質感を造形していくことを指します。国内外のテーマパーク(ディズニーランドやディズニーシーなど)にも多く使われており、現在は店舗や住宅などでも使用されることが多い素材です。

質感がモルタルなので、岩や石は本物そっくりに仕上げることができます。

モルタル造形を活用した実例5選!

実例1:岩を割ったような、美容室のレセプションカウンター

スタジオすむとこ設計・施工事例「モダン×洗練された|石と鉄の美容室

レンガや石はカントリーすぎる、と思ったら、こんなモダンなデザインも。モルタル造形を使用すれば、大きな石を割って作ったような、ダニエル・アーシャムを彷彿とするようなイメージのデザインも、作ることができます。

実例2:砂漠の風紋を再現した、モルタル造形

スタジオすむとこ設計・施工事例「「砂漠×近未来」突如出現する異世界オフィス

スタイリッシュな空間にモルタル造形を取り入れるなら、こんな例もあり!壁一面にモルタル造形を施して、舞台のセットのように遠近感を出します。360度どこから見ても、映画のワンシーンにいるような空間に。モルタル造形の凹凸を、間接照明で浮き上がらせる手法は、スタジオすむとこが得意とする手法の1つです。

実例3:メルヘン&カントリーな店舗のファサード

スタジオすむとこ施工事例「蔦が絡まるテーマパークのような美容室

世界観のある内装へいざなうなら、モルタル造形で作ったファサードがおすすめ。入る瞬間からわくわくしますし、外観全体が、お店の看板になってくれます。

実例4:レンガ×石積みで作るアンティークな外観

case_interior_design_facade_tokyo_oume_ozaku
スタジオすむとこ店舗施工事例_外観(東京 青梅市 小作)

レンガと石を組み合わせた建物の外壁です。テーマパーク、ナチュラル、フレンチスタイルが好きな方には刺さるデザインと言えるでしょう。

実例5:モルタル造形×ライティングで、美しい看板

こちらは看板デザインです。夜照明をつけると、モルタル造形の凹凸が間接照明で浮き上がってきて、美しい空間になります。

モルタルアート(モルタル造形)で何が作れるの?

レンガ

レンガはモルタル造形職人が一番最初にマスターするモチーフです。スライスしたレンガは、日本でもよく販売されているので、せっかくモルタル造形で作るなら、凹凸の大きいもの、壁の経年劣化により部分的に見えているレンガなど、細部までこだわって、レンガを作るのが面白いでしょう。

岩(擬岩)

大きな岩を、住宅や店舗に取り入れるのは困難です。でも、モルタル造形なら比較的容易に作ることができます。家具や壁など、またモダンからアンティークまで、幅広いスタイルに対応できるモチーフです。

石積み

モルタル造形で人気なモチーフの1つです。ハリーポッターやダウントンアビーの舞台としても使用された、イギリスのコッツウォルズのような雰囲気など、おとぎの国のような世界観が表現できます。

木(擬木)

本物の木を使うと傷みやすい場所にも、木を作ることができます。また、モルタル壁の中に木を埋め込みたい場合も、本物の木を使用すると「あく」が出て周りのモルタルを汚染してしまうので、擬木をモルタルで製作します。

レリーフ

出典:Tiktok

細かな模様を表現するのもモルタル造形は得意。2024年大バズりしていたモルタルの月の造形も、難なく作れてしまいます。

どうしてモルタルアート(モルタル造形)で作るの?

理想の形状を表現できるから

実際に大きな岩、大きな木など、理想のものを持って来ようとすると非常に効果になってしまいます。そこで、材料+職人の腕があれば、ある程度の価格で、理想の形を表現できます。もちろん、理想的な材料が身近ある場合は、それを使用すればいいし、ない場合は、モルタル造形で表現してしまうことで、よりクオリティの高い空間を作ることができるというわけです。

厚みを出さずに、作ることができるから

例えば、石積みや煉瓦積みをその空間の中に作ると、ある程度の厚みが必要になってきます。しかしモルタル造形なら、20mmという厚みの中で、奥行きを表現することで、たった20mmしか厚みを取らず、空間の意匠性を高めることができます。

モルタル造形のDIY – 自分で作り上げる方法

モルタル造形って自分でできるの?

モルタル造形を、例えば外壁に施す場合などには、下地の状態が悪いと、モルタルが経年劣化でヒビ・割れを起こす可能性があります。従って、自分の家に自分でモルタル造形を行いたい場合には、まずは、少しの材料と少しの道具で、下記を確認してみるのがおすすめです。

  • 実際にできるかどうか
  • どれくらいの時間がかかるか
  • どのくらいのクオリティで仕上がるか

モルタル造形は、モルタルを塗り付け、乾き切る前にカービング(削り取る)作業を行う、時間との戦いでもある作業です。従って、まずは小さな面積で試してみるのがおすすめです。

お試し(小さな面積)におすすめな製品

実際の施工にも対応できる製品

現在、日本で通販で購入できる造形用モルタルは下記の3点です。1袋(20mm厚塗り)でおよそ1㎡塗ることができます。厚みがあることで、奥行きを表現できるので、基本塗り厚は20mm以上を確保するのがおすすめです。

また、今回はグレー(モルタル色)で、比較していますが、薄い色で着色する場合は、白セメントを配合している製品を使用する必要があります。

ギルドセメント

1袋あたり、5,155円(3,190円(税込)/袋+送料1,925円(税込)/袋)で購入が可能です。テーマパークや動物園などで使用されており、よりリアルテクスチャが追求できる製品です。基本、プロ向けですが、個人でもサイトから購入が可能です。プロ向けのため、細かい説明などはついていないため、もしDIYで施工する場合はyoutube等で事前に予習してからの購入がおすすめです。弊社スタジオすむとこ、ではこの製品を使用しています。

マジカルセセメント(モルタル造形用)

1袋あたり、5,500円(税込)で購入が可能です。送料は550円ですが、2袋以上で無料になります。楽天で気軽に購入できるのもメリットです。店舗や住宅で使用されており、一般向けの説明書もついており、初めてモルタル造形を行う人でも扱いやすいのがメリットです。

TF造形モルタル

価格は、代理店経由で購入すると、税込4,136円/袋(2,750円/袋+送料1,386円/袋 ※関東配送)と最安です。同代理店で月額5,000円で、モルタル造形スクールも行なっているので、自力で挑戦してみたい人は試してみるのも良いかもしれません。

専門家へ依頼する場合は|職人またはデザイン事務所

モルタル造形は一般的な工務店では取り扱っていません。

モルタル造形を使用して、より没入感のある空間を作るには、モルタル造形職人かデザイン事務所に依頼するのが良いでしょう。

依頼先は、モルタル造形職人とデザイン事務所への依頼の2種類があります。

モルタル造形職人へ依頼する場合

モルタル造形職人の場合は施工費のみで施工してくれるためデザイン事務所と比べると、安価に施工可能です。職人さんによって、得意・不得意があるので、自分の施工してほしいデザインを上手に作ってくれる職人さんを選ぶと良いでしょう。

デザイン事務所へ依頼する場合

デザイナーに依頼する場合は、モルタル造形も含めて得意なデザイナーに依頼すれば間違いないでしょう。施工費に加えてデザイン費がかかるため、少し金額が高くなりますが、下地の状態含めて見てくれますので、より安心して依頼することができます。

また、モルタル造形以外の他の空間との相性も見ながら、より没入感のある空間作りを行なってくれるでしょう。

モルタル造形を依頼する場合の値段はいくら?相場の価格は?

モルタル造形の相場は、造形の形状と、造形に使用するモルタルの厚み、などによって大きく異なります。モルタル造形の費用は、施工面積、デザインの複雑さ、使用する材料によって異なりますが、一般的な相場は以下のような範囲です。

モルタル造形の費用の目安

  1. 平米単価:1平方メートルあたり約10,000円〜35,000円
    • 単純な平坦な壁であれば低価格で済みますが、立体感やディテールが多いデザインほど高くなります。
  2. デザインの複雑さ
    • コンクリート風など、シンプルなデザイン:1平米あたり約10,000円〜20,000円
    • 石積みやレンガ風など、厚みのある一般的なデザイン:1平米あたり約20,000円〜35,000円以上
    • 壁面全てが一つ続きなど制作が複雑なデザイン:約25,000円〜
  3. 追加の費用要素
    • 交通費や足場代(特に屋外施工の場合)
    • 下地処理費用(既存の壁の状態によって追加費用が発生することもあります)
    • アフターケアやメンテナンスの費用が含まれる場合もあります。

モルタル造形の施工例の費用感

  • 看板や、10平米程度の小規模な壁面:約10万円〜35万円
  • 外壁や店舗の大規模なモルタル造形:50万円〜150万円以上

デザインの自由度が高い反面、費用はデザインや規模に応じて大きく異なるため、見積もりの際に詳細なヒアリングを行うことが重要です。また、工数が変わるほどのデザイン変更を行うと、金額が変わってしまう可能性があるため、予算をデザイナーに明確に伝えておく必要があります。

モルタル造形のメンテナンス方法とポイント

モルタル造形は、エイジング(経年劣化)も楽しみな素材の1つです。ある程度汚れても、それも「味」になっていく素材ではありますが、湿気によりクラックが入り、モルタルが落ちる、などということがあってはいけません。従って、「2.コーティング剤の再塗布」と「3.クラック(ひび割れ)の補修」は行なっておくのがおすすめです。

1. 汚れの除去

  • 日常的なメンテナンス:柔らかいブラシや布でホコリや汚れを軽く拭き取ります。高圧洗浄機を使用する場合は、圧力を抑えて洗浄すると、素材を傷めずに済みます。
  • 頑固な汚れ:中性洗剤を薄めたものをスポンジに含ませ、汚れ部分を軽くこすります。その後、水で洗い流し、しっかり乾燥させましょう。

2. コーティング剤の再塗布

  • 保護効果:モルタル造形は自然な風合いを楽しむことができますが、紫外線や湿気から守るためにコーティング剤(シーラー)の再塗布が有効です。
  • 再塗布の頻度:1〜2年に一度を目安にコーティングを再塗布すると、汚れや変色を防げます。特に屋外施工の場合は、定期的なコーティングが耐久性の向上に繋がります。

3. クラック(ひび割れ)の補修

  • 小さなひび割れ:乾燥による小さなクラックは自然な経年変化として味わいを増しますが、気になる場合は補修剤を使って表面を整えることができます。
  • 大きなひび割れ:外観に影響を及ぼすほどの大きなひび割れが発生した場合は、モルタル補修剤で隙間を埋めた上で再度仕上げを行うと良いでしょう。

4. 防カビ・防苔処理

  • 湿気が多い場所のケア:屋外や湿度の高い場所にモルタル造形を施している場合、カビや苔が発生することもあります。カビ防止剤を塗布したり、カビが発生した場合は専用の洗浄剤で軽く洗い流すと良いです。
  • メンテナンス頻度:湿気が原因のトラブルは予防的なケアが重要です。特に、雨が直接当たる場所では、こまめに防カビ・防苔処理を行うと良いでしょう。

5. 定期点検とプロによるメンテナンス

  • プロの点検:モルタル造形の耐久性を保つため、数年に一度プロによるメンテナンスや点検を依頼すると安心です。特に外壁や大規模な施工の場合は、見えにくい劣化が進むこともあるため、プロの視点から確認してもらうと良いでしょう。
  • アフターサービスの活用:施工時にデザイナーや業者が提供するアフターサービスを確認し、必要に応じて利用すると、メンテナンスの手間が減り、安心です。

まとめ

今回は、モルタル造形について解説しました。デザインの幅が広いからこそ、デザイナーや職人の腕が、成果物に色濃く反映されます。

  • モルタル造形は何でも作れる分、作り手の技術に左右される
  • 職人さんに依頼すると安価に施工が可能
  • デザイナーに頼むと、下地の状態の改善や他の空間との相性も見ながらデザインしてもらえる
  • 自分でDIYで作る場合、材料は簡単に手に入る
  • 自分で作る場合は、少ない面積から試してみるのがおすすめ

スタジオすむとこでは、モルタル造形も含めた空間作りを得意としております。よろしければ是非お問い合わせ下さい。