デザイナーが教える「理想のタイルの選び方」|素材別・場所別に徹底解説!
タイルは、高級感を持たせ、空間を美しく見せてくれます。タイルは、色選びだけでなく、質感選び、場所によるメンテナンス性を考慮した選定、も必要です。どんな場所にどんなタイルを選定するのが良いか、デザイナーが解説していきます。
タイルは、以下のように大きく8種類に分類されます。それぞれの特性と、適した場所を踏まえ、理想のタイルを見つけましょう。
項目 / タイルの種類 | ポーセリンタイル (磁器質タイル) | セラミックタイル (陶磁器タイル) | 花崗岩タイル | スレートタイル | 大理石タイル | ガラスタイル | テラコッタタイル | ビニールタイル(LVT) |
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硬さ(モース硬度) | ◎ 5~7 非常に硬く耐久性が高い | ○ 5~6 硬いが、ポーセリンよりはやや柔らかい | ◎ 6~7 非常に硬く、耐衝撃性も高い | ○ 4~5 天然石としては比較的硬い | △ 3~4 柔らかく、衝撃に弱い | ○ 5~6 硬いが衝撃に弱く割れやすい | △ 3~4 柔らかく、衝撃に弱い | × 2~3 非常に柔らかく、凹みやすい |
傷つきやすさ | ◎ 傷や摩耗に非常に強い | ○ 釉薬により傷がつきにくいが、釉薬が剥がれると傷つきやすい | ◎ 傷がつきにくく、長期間美しさを維持できる | ○ 表面が滑らかでないため、傷が目立ちにくい | △ 柔らかく傷がつきやすい | △ 表面は硬いが、割れやすく傷もつきやすい | △ 柔らかいため、傷がつきやすい | × 傷がつきやすく、鋭利な物で簡単に凹む |
メンテナンス性 | ◎ 防水性が高く、汚れもつきにくく掃除が簡単 | ◎ 防水性が高く、日常の掃除が簡単 | ○ 定期的なシーリングが必要だが、耐水性と耐久性がある | ○ 定期的なシーリングが必要 | △ 定期的な研磨と専用のケアが必要 | ○ 掃除は簡単だが、割れると修理が難しい | △ 吸水性が高く、定期的な防水処理が必要 | ◎ メンテナンスが非常に簡単。部分的に修繕が可能 |
価格(平米単価) | ○ ¥5,000~¥10,000/m² | ○ ¥4,000~¥8,000/m² | △ ¥10,000~¥20,000/m² | △ ¥7,000~¥15,000/m² | × ¥15,000~¥30,000/m² | △ ¥10,000~¥20,000/m² | ○ ¥4,000~¥8,000/m² | ◎ ¥3,000~¥6,000/m² |
意匠性(デザイン性) | ◎ カラーバリエーションが豊富で、多様なデザインが可能 | ◎ 色やデザインの選択肢が豊富 | ○ 自然素材特有の美しい模様があり、特に高級感が求められる場所に適している | ○ ナチュラルなテクスチャーが特徴的 | ◎ 高級感のある自然模様が魅力 | ◎ 透明感と光沢感が美しく、装飾用に最適 | ○ 素朴で温かみのあるデザインが特徴 | △ 木目や石目のリアルな質感を再現したデザインが可能 |
施工に適している場所 | 屋内外全般、浴室、キッチン、エントランスなど | 屋内全般、キッチン、浴室、リビング | 屋内外の高負荷エリア、キッチンカウンター、エントランス、外部階段など | 屋外のテラス、玄関、リビング | 高級住宅、浴室、リビングルームなど | キッチンのバックパネル、浴室のアクセントウォール、リビング | 室内のリビング、ダイニング、キッチンなど | キッチン、バスルーム、リビング、商業施設の床など |
「せっ器質タイル」という、ポーセリンタイル(磁器質タイル)と、セラミックタイル(陶磁器タイル)の中間のタイルもあります。
タイルの種類ごとの詳細な特徴
1. ポーセリンタイル(磁器質タイル)

写真のカウンター天板と、左の壁が、ポーセリンタイルなんだって
- 硬さ・耐久性: 硬さは5~7(モース硬度)と非常に高く、傷や摩耗にも強いため、長期にわたって美しさを保つことができます。
- 吸水率: 磁器質タイルは吸水率が非常に低いため、湿気や水に強く、浴室やキッチンなどの水回りにも適しています。
- メンテナンス性: 汚れがつきにくく、掃除がしやすい点も魅力です。
- 価格: ¥5,000~¥10,000/m²と中程度ですが、耐久性を考えればコストパフォーマンスが非常に良いです。
- 意匠性: カラーバリエーションが豊富で、モダンな空間からナチュラルな雰囲気まで幅広く対応できます。
- 適した場所: 屋内外全般、特に浴室、キッチン、エントランスなどに最適。
2. セラミックタイル(陶磁器タイル)

- 硬さ・耐久性: 硬さは5~6(モース硬度)で、ポーセリンほどではありませんが、日常使用には十分です。
- 吸水率: 吸水率は中程度ですが、釉薬が施されているため、屋内のキッチンや浴室などでも使用できます。
- メンテナンス性: 日常の掃除が簡単で、防水性も高い。
- 価格: ¥4,000~¥8,000/m²と比較的手頃です。
- 意匠性: 色やデザインのバリエーションが豊富で、リビングや浴室など、デザイン性を重視する場所に適しています。
- 適した場所: 屋内全般、特にリビングやキッチン、浴室におすすめです。
3. 花崗岩タイル

- 硬さ・耐久性: 非常に硬く耐久性も高い。傷つきにくく、衝撃にも強いため、長期間使用できます。
- 吸水率: 吸水率は低く、耐水性が高いので屋外にも適しています。
- メンテナンス性: 定期的なシーリングが必要ですが、基本的に耐久性が高くメンテナンスは容易です。
- 価格: ¥10,000~¥20,000/m²と高価ですが、長寿命を考えるとコストに見合った価値があります。
- 意匠性: 自然素材の美しい模様があり、高級感を求める場所にぴったりです。
- 適した場所: エントランスやキッチンカウンター、外部階段など、高負荷のかかる場所に最適です。
4. スレートタイル

- 硬さ・耐久性: 硬さは4~5(モース硬度)で、天然石としては比較的硬い。
- 吸水率: 吸水率が低く、水回りにも適しています。
- メンテナンス性: 定期的なシーリングが必要ですが、一般的にはメンテナンスは容易です。
- 価格: ¥7,000~¥15,000/m²と、価格帯はやや高め。
- 意匠性: ナチュラルなテクスチャーが特徴で、特に屋外のテラスなどでの使用に適しています。
- 適した場所: 屋外のテラスや玄関、リビングにぴったりです。
5. 大理石タイル

- 硬さ・耐久性: 硬さは3~4(モース硬度)で、柔らかいため衝撃に弱い。
- 吸水率: 吸水率が高く、湿気に弱いので使用には注意が必要。
- メンテナンス性: 定期的な研磨と専用のケアが必要です。
- 価格: ¥15,000~¥30,000/m²と高価で、高級感があります。
- 意匠性: 高級感のある自然模様が魅力で、豪華な空間に最適です。
- 適した場所: 高級住宅、特にリビングルームや浴室に適しています。
6. ガラスタイル

- 硬さ・耐久性: 硬さは5~6(モース硬度)で、割れると修理が難しいが、表面は硬い。
- 吸水率: 水分を通さず、汚れに強い。
- メンテナンス性: 掃除は簡単ですが、割れやすい点に注意が必要です。
- 価格: ¥10,000~¥20,000/m²と中程度。
- 意匠性: 光沢感が美しく、装飾用に適しています。
- 適した場所: キッチンのバックパネルや浴室のアクセントウォールに適しています。
ガラスタイルは、揺らぐような美しさが魅力です。
ただ、カット手間がかかるため、施工費が少し高くなります。
7. テラコッタタイル

- 硬さ・耐久性: 硬さは3~4(モース硬度)で、柔らかく衝撃に弱い。
- 吸水率: 吸水性が高いため、水回りには不向き。
- メンテナンス性: 定期的な防水処理が必要です。凹凸のある素材なので、床に使用する場合は注意が必要です。
- 価格: ¥4,000~¥8,000/m²と手頃です。
- 意匠性: 素朴で温かみのあるデザインが特徴です。
- 適した場所: 室内のリビングやダイニングに適しています。
カントリー調には欠かせない風合い!長く使って、味を出していきたい!
8. 天然石 割り肌タイル

花崗岩タイルやスレートタイルも天然石タイルですが、ここではそれ以外の素材を指します
- 硬さ・耐久性: 非常に硬く、耐久性は高い。特に花崗岩やスレートなどは優れた耐摩耗性を持つ。
- 吸水率: 吸水率は低く、特に外装や湿気の多い場所でも使用に適している。ただし、石の種類によって多少の違いがある。
- メンテナンス性: 割肌の凹凸があるため、汚れが溜まりやすく、掃除がやや難しい。防水処理を行うことでメンテナンスがしやすくなる。
- 価格: ¥8,000~¥20,000/m²とやや高価。石材の種類や産地によって変動する。
- 意匠性: 自然石の持つ独特の凹凸や色合いが、唯一無二の風合いを生み出す。高級感のある外観が特徴。
- 適した場所: 外壁、玄関、エクステリア、テラス、庭の舗装、内装のアクセントウォールなど、屋内外で使用可能
ゴツゴツしたり、ポコポコしたり、自分だけのお気に入りの質感を見つけたい…!
経年変化が楽しめるタイルです。
9. ビニールタイル(LVT)

写真の床がビニールタイルだって
- 硬さ・耐久性: 硬さは2~3で、柔らかく凹みやすい。
- 吸水率: 水分を通さないため、湿気に強い。
- メンテナンス性: メンテナンスが非常に簡単で、部分的に修繕が可能です。
- 価格: ¥3,000~¥6,000/m²と非常に手頃です。
- 意匠性: 木目や石目のリアルな質感を再現したデザインが特徴です。
- 適した場所: キッチン、バスルーム、リビングなど、広範囲で使用できます。
長く使うというよりは、張替え前提になります。
場所別|おすすめのタイル
実際にタイルを選ぶ際、上記の表や情報を元にして、自分のプロジェクトやリフォームに最適なものを見つけることが重要です。ここでは、特定の場所や用途に応じたタイル選びのポイントをまとめました。
1. キッチンに最適なタイル

キッチンでは、耐水性や耐久性に優れたタイルが理想です。食材や調理器具の落下による衝撃、油汚れや水分によるダメージに強いタイルが必要です。
- おすすめのタイル: ポーセリンタイル、セラミックタイル、ガラスタイル
- 理由: ポーセリンタイルやセラミックタイルは耐水性と耐衝撃性があり、ガラスタイルはデザイン性に優れ、キッチンの壁面やバックパネルにも使いやすい。
2. 浴室やトイレに最適なタイル

浴室やトイレは湿気が多く、水が直接かかる場所なので、吸水率が低く、防水性が高いタイルが必要です。また、掃除がしやすい点も重視したいポイントです。
- おすすめのタイル: ポーセリンタイル、セラミックタイル、ガラスタイル
- 理由: 吸水率が低く、防水性に優れているため、湿気の多い浴室やトイレに最適です。また、掃除が簡単で、カビが発生しにくい点もメリットです。
3. リビングやダイニングに最適なタイル

リビングやダイニングでは、デザイン性と快適さが重視されます。また、歩行の快適さや部屋全体の雰囲気にも影響するため、タイルの質感やデザイン選びが重要です。
- おすすめのタイル: セラミックタイル、テラコッタタイル、ビニールタイル(LVT)
- 理由: セラミックタイルやテラコッタタイルはデザインのバリエーションが豊富で、温かみやナチュラルな雰囲気を演出できます。ビニールタイル(LVT)は、足元が柔らかく、歩行音も抑えられるため、快適な空間を作り出せます。
4. エントランスや玄関に最適なタイル

エントランスや玄関は、屋外から持ち込まれる土や砂、湿気などに対して耐久性が求められます。耐摩耗性や耐水性に優れ、清掃がしやすいタイルを選ぶのがポイントです。
- おすすめのタイル: ポーセリンタイル、花崗岩タイル、スレートタイル、
- 理由: ポーセリンタイルや花崗岩タイルは、耐摩耗性と耐水性に優れており、玄関の高い交通量にも耐えることができます。また、スレートタイルはナチュラルな雰囲気を演出し、外観との調和が取れます。
5. 屋外(テラスや庭)に最適なタイル

屋外は気候や環境の影響を直接受けるため、耐候性や防滑性の高いタイルが適しています。また、見た目にも自然と調和するデザインを選ぶと、全体の雰囲気が統一されます。
- おすすめのタイル: ポーセリンタイル、スレートタイル、花崗岩タイル、天然石 割り肌タイル
- 理由: ポーセリンタイルや花崗岩タイルは、耐候性があり、雨風にさらされても劣化しにくいです。スレートタイルは防滑性があり、濡れても滑りにくいため、屋外の使用に適しています。
タイルを施工する費用は?

タイルは、カタログには「平米単価」が記載されていますが、その費用に下記は含まれていません。
- 接着剤の費用
- 目地の費用
- カット・施工の費用
- 下地調整の費用
- 古いタイルの撤去費用
金額は、施工するタイル、平米数、壁か床か、下地調整の必要有無、役物を使用するか?などにより、平米単価は大きく変わってきますが、参考までに弊社スタジオすむとこでは、おおよそ、タイルの費用+平米12,000円〜25,000円です。
タイルは現物を確認して選ぶ

タイルは実物を見て選ぶのが一番です。弊社スタジオすむとこでは、お打合せの際に空間に合う数種類のサンプルを持参いたします。もし施工が決まっている場合は、設計事務所や施工会社のデザイナーさんが持ってきてくれるでしょう。
もし、まだ設計事務所や施工会社が決まっていない場合は、実際ショールームに足を運び、現物を見てみるのが一番です。
東京でタイルを見れるショールームを5つまとめました。
東京のショールーム5選

まだ、設計事務所や施工会社が決まっていない場合は、ショールームに足を運ぶのが一番イメージがつきやすいです。
1. LIXIL ショールーム 東京
- 場所: 東京都江東区大島2-1-1
- 特徴: LIXILは、タイルや水回り設備など、幅広い建材を扱っています。タイルだけでなく、住まい全般の製品やデザインをトータルで見ることができるのが特徴です。内装・外装タイル、モザイクタイルなど、多彩なバリエーションがあります。
- Webサイト: LIXIL ショールーム
汎用品が多く、値段も安価です。工夫次第で安価におしゃれにできます。
2. 名古屋モザイク工業 東京ショールーム
- 場所: 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-4-5
- 特徴: 名古屋モザイクはタイルに特化したメーカーで、特に内装タイルやモザイクタイルに強みがあります。さまざまなデザインのタイルを展示しており、住宅や商業施設向けの高品質なタイルが揃っています。
- Webサイト: 名古屋モザイク工業
安価〜高級まで幅広くラインナップされています。
3. 平田タイル 東京ショールーム
- 場所: 東京都港区南青山4-24-8
- 特徴: 平田タイルは、モダンで高級感のあるタイルを数多く取り扱っています。洗練されたデザインのタイルが多く、インテリアにこだわる方には特におすすめのショールームです。
- Webサイト: 平田タイル
高級ですが、デザイン性も高いタイルメーカーです。
4. サンワカンパニー 東京ショールーム
- 場所: 東京都港区北青山3-11-7
- 特徴: モダンでスタイリッシュなタイルを取り扱うショールームです。タイルの他にもキッチンやバスルームの設備が揃い、建築のトータルコーディネートを提案しています。シンプルでクールなデザインが多く、現代的な空間作りに適しています。
- Webサイト: サンワカンパニー
比較的安価に、デザイン性の高いタイルが手に入ります。
5. ADVAN 原宿ショールーム
- 場所: :東京都渋谷区神宮前 4-32-14
- 特徴: Advanは、ヨーロッパから輸入した高品質なタイルを展示しており、モダンかつ洗練されたデザインが多く揃っています。特にイタリアやスペインのタイルが豊富で、他では見られないデザインや素材感を実際に体感できます。
- Webサイト: Advan
サンワカンパニーに比べると高めですが、今っぽいデザインのタイルが多く揃っています。
まとめ

この記事では、タイルの選び方や特徴、場所ごとの適したタイルについて詳しく解説しています。タイルの種類は以下の9つに分類され、それぞれ硬さや耐久性、吸水率、メンテナンス性、価格、デザイン性などの特性が異なります。
- ポーセリンタイル: 非常に硬く、耐水・耐衝撃性が高い。浴室やキッチンに適している。
- セラミックタイル: 硬さは中程度で、日常使用に適し、価格が手頃。
- 花崗岩タイル: 非常に硬く、屋外やエントランス向き。
- スレートタイル: ナチュラルなデザインで屋外のテラスに最適。
- 大理石タイル: 高級感があり、リビングや浴室向けだが衝撃に弱い。
- ガラスタイル: デザイン性が高く、キッチンや壁面の装飾向き。
- テラコッタタイル: 温かみのあるデザインが特徴でリビングや店舗床向き。
- 天然石割肌タイル: 天然石の自然な風合いが魅力で、外壁や玄関のアプローチ、壁面装飾に最適。
- ビニールタイル: 手頃で、キッチンやリビング、雨が当たる場所以外、どこでも使用が可能。
また、理想のタイル選びには、実際のタイルの質感や色合いを確認することが必要です。設計事務所や施工会社で、プロのアドバイスを受けながら、適切なタイルを、色や素材感合わせをしながら選ぶのがおすすめです。その前の段階であれば、ショールームに訪れることで、カタログだけでは分からない実物の違いを体感できます。
弊社スタジオすむとこでは、タイルを含めた設計・施工も得意としております。是非お気軽にお問い合わせください。