美容室内装を格安でおしゃれにするなら?|デザイナーが考察

内装工事のコストカットにはコツがある!

念願の美容室開業!
でも、内装工事の費用って、なんとか抑えられないの?

工事費を下げるコツを抑えれば、低コストでの内装工事も不可能ではないよ

内装工事費は、美容室の開業資金の実に1/3〜1/2もの金額を占めることさえある大きな支出です。
かといって不用意に内装費の削減を推し進めると、かえってランニングコストが増大したり、お客様からの印象が悪化したり、最悪の場合粗悪な建材・設備・施工のせいで火災や漏水といった事故を招きかねません。

そこでこの記事では、これから美容室を開業したいとお考えのみなさまにむけて、美容室の内装工事費を軽減するためのポイントや発想をご紹介したいと思います。

工事費を削減する方法は大きく3つ

工事費を削減する方法は大きく3つ

内装工事費を抑えるポイントは、大きく3つに分かれるね。

内装工事を抑えるための発想は、大きく下記の3つに分かれます。

  • 既製品・中古品で対応できないか検討する
  • ②性能が求められない箇所は、安い建材やDIYで対応する
  • ③目立つところにピンポイントで予算を使う

以下一つずつ見ていきましょう。

①なるべく既製品・中古品で対応できないか検討する

費用削減の定番は、やっぱり既製品をなるべく使うことだね。

内装費用を安く済ませる最も一般的な方法は、室内の建具・什器・設備を既製品・量産品・中古品で賄う方法です。

美容院に限らず店舗の内装工事を行う際、全ての什器や内装を1から設計するというケースは、予算が高額になりすぎることから極めて稀と言えるでしょう。
全体の統一感を出すことがやや難しくなりますが、量産品を設計価格・卸価格で購入するか、ヤフオクなどの中古品を中心にインテリアを構成した方が、内装費用を抑えやすくなります。

その最たる例が、居抜き物件の活用です。
居抜き物件とはご存知の通り、前のオーナーが利用していた内装・設備・什器がそのまま残されているテナント物件のこと。
「自分好みの内装を追求したい!」という方にとっては、撤去費用や解体費用がかかる分不向きな物件ですが、少しでも内装費用を抑えたい方ならばぜひこうした居抜き物件での開業をお勧めいたします。

また、インテリアを検討している時に「どうしても既製品ではダメだ」というポイントもしばし登場します。
しかしこうしたオリジナルデザインを依頼する部分に関しても、すこしでも廉価に設計するための工夫があります。

例えば扉を取り付ける場合、既製品の扉であれば大工さん1人で取り付けることが可能ですが、オリジナルの建具を設計した場合、金具屋・ガラス屋・建具屋といった複数の職人への依頼が必要になる可能性があります。
当然その場合多額の費用が必要になることでしょう。

しかしこの時店舗内の扉・窓・収納家具・セット面の固定金具などのデザインにも同じ規格・寸法の建材や素材を用いることができれば、一括発注による割引ができたり、必要な職人さんの人件費をまとめることができる可能性が出てきます。

このように、インテリアを1から設計する場合も、あるいは専門店で製品を購入する場合でも、なるべく同じ型番・材質・メーカーのものを採用したほうが、費用を抑えられる上にインテリア全体の統一感を出しやすくなります。

②性能が求められない箇所は、安い建材やDIYで対応する

既製品が使えない部分でも、より安い建材で対応できる箇所はたくさんあるよ

次に検討するべきは、美容室の内装のうち「安い材料を使ってもそれほど悪影響のない部分はどこか?」という点を知ることです。
というのも床や壁や天井の材料については、「限界まで内装費を節約してもいいところ」と、「あまりに安い材料を使うと耐久性・メンテナンス性の問題が発生するところ」が存在するため、その見極めが重要となるからです。

例えば美容室にとって天井と壁の仕上げは、最もコスト削減が図りやすいポイントと言えるでしょう。
左官仕上げの代わりに「左官仕上げ風の壁紙」「塗装」で仕上げれば、見た目の雰囲気を出しながら費用を抑えられます。
天井は化粧天井を設けず梁や配管を剥き出しにした仕上げも、モダン風・シンプル風・アンティーク風などの美容室では、かえってリラックスした雰囲気を出せるため、安さとデザインを両立させる人気の内装処理と言えるでしょう。
水気や溶剤に耐える必要がある床材とは異なり、美容室の壁と天井はほとんど汚れることも近づかれることも触られることもない、比較的自由度の高い部分なのです。
(もちろん半年で捲れてくるような安すぎる壁紙は論外ですし、高級感を売りにする場合は天井がない店舗はマイナスイメージです。)

あるいは、照明や小道具によってお客様の視線をコントロールするケースもあります。
例えば美容室の中には、シャンプーブースの照明をメインの空間より控えめにしている店舗があります。
これは「シャンプー中の眩しさを抑える」「リラックスできる雰囲気をつくる」といった意図もありますが、シャンプースペースの内装を廉価なものにしているのを誤魔化しているという狙いがある可能性も考えられます。
このように明暗のコントラストで店舗の印象を変えるのも、最小限の予算で最大限の魅力を演出するための常套手段といえるでしょう。

一方で、美容室の工事でコスト削減をお勧めできないのが、水道・電気・空調といった設備周りです。
例えば、初期費用を抑えるために業務用エアコンではなく家庭用エアコン複数台を設置することで無理やりコストカットを図るというケースが存在しますが、こうした工夫はほぼ確実に毎月の電気代やメンテナンス費用が嵩む形で将来に跳ね返ってきます。
水回りの設備(シャワーなど)についても、高価なものほど掃除もメンテも楽な上に節水・省エネ上の工夫が施されており、長期的に見ればお得になるものが多いです。

なにより設備まわりの精度は、お客様や従業員の快適性にダイレクトに直結する部分です。
美容院にとって「居心地の良さ」は、リピート率に関わる重要なポイントですから、あるいみでは「おしゃれさ」「ビジュアルさ」以上に妥協が許されないポイントといっても過言ではありません。

ちなみに、こうした「目立たない部分」「性能が必要とされない部分」というのは、あなた自身の手で内装を仕上げるDIYにも適した部分であることが多いのも特徴です。
設計者や施工者と相談の上、こうした部分の施工をご自身で行うことも、内装工事費を節約するための一つの手段と言えるでしょう。


③目立つところにピンポイントで予算を使う

もちろん、コスト削減ばかりだと無個性な空間に!
限られた予算は一点集中させるのが低予算インテリアの王道だね!

もちろん内装材のグレードを決定するのは、耐久性や省エネ性能といった機能面の問題だけではありません。
「高い性能は求められないけれどもお客様の目に留まる」箇所には、デザイン性の高い高級材を利用する価値が十分にあるでしょう。
逆に「機能性さえ満たせれば、見た目がどれほど安っぽくても問題ない箇所」というのも存在します。

具体的に言えば、入口を入ってすぐ目に飛び込んでくる壁や、施術中のお客様が見つめることになる壁面に、ピンポイントでオリジナリティの高い高級壁紙や手間のかかる左官仕上げを利用することで、部屋全体の印象をコントロールすることができるでしょう。
逆に、倉庫やスタッフルーム、廊下にトイレなど、お客様の意識が向きにくい・目に触れない空間の建材や建具は、グレードを落としてもそこまで気にならないことがほとんどです。

もちろん全ての空間でデザイン性を排除する方が、予算圧縮の面で有利なのは言うまでもありません。
しかし、必要最小限の性能を満たす廉価な建材というものは、他の住居や店舗でも極めて高頻度で採用される建材でもあります。
そのため、何もかもを最低レベルの建材で統一した美容室というのは、激安アパートや激安ビジネスホテルの中にいるかのようなチープで無個性な空間になりがちです。
個性やトレンド性が重視される美容室において、こうした印象は致命的なマイナスイメージと言えるでしょう。

そこで重要になるのが、こうした「見せたい部分に予算を集中させる」という戦略です。
見せ場をどのように作り、安く済ませたところをどのように隠すか、という取捨選択こそ、設計者やデザイナーの腕の見せ所と言えるでしょう。

まとめ

大切なのは、美容室全体のどこにお金をかけて、どこのコストを削減するのかという視点なのね。

本記事の要約

  • 内装工事を安く済ませるには、お金をかける箇所の優先順位をつけるのが大切
  • 目立つ箇所・お客様の目に止まる箇所には、徹底的にデザイン性を重視
  • 床材や設備周りなど、快適性につながる箇所も機能性を重視
  • 天井や壁、目立たないバックヤードなどは廉価な建材で節約
  • お金のかけ方にメリハリのある内装は、全てを豪華にした内装よりインパクトのあるインテリアに!

内装工事というものは、全ての箇所に平等にお金をかければ良いものができるというわけではありません。
むしろ、施設全体の中に「ここを見せたい」という視線誘導ポイントや見せ場を一つ設定し、その周辺にお金をかけることで、コンセプトが明白でメリハリの効いた内装設計になることすら、しばしばあるのです。

とはいえ、コンセプトに応じて費用をかける部分の優先順位をつけるというのは、言うは易しですが実行するのは非常に困難。
コンセプトを明白にする内装を実現できる美容室の設計でお悩み方は、ぜひstudio.sumutoco(スタジオすむとこ)へご相談ください。

以下のフォームから、お待ちしております!