【超重要】美容室は鏡が命|セット面を設計・購入する際のポイントまとめ
目次
美容室のセット面とは?

セット面って初めて聞くわ。なんのこと?
お客様の髪を切るスペースに設置される、鏡やカウンターのことね。
美容室において、鏡といえばなくてなはならないマストアイテムといっても過言ではありません。
そんな美容室の代名詞といえる鏡の中でも、髪を切るスペース(=シャンプースペースなど以外)にある鏡は、業界では「セット面」という名前で呼ばれています。
セット面はご来店のお客様の視線に最も晒されるスペースであることから、美容院の内装設計においても大きな意味を持つ部分の一つと言えるでしょう。
この記事では、これから美容室を開業したいとお考えのみなさまにむけて、美容室の内装におけるセット面の重要性と、その購入・設計上の注意点をご紹介いたします。
セット面の基礎知識

まずは、ヘアサロンにおけるセット面の意味や重要性、役割を確認するところから始めましょう。
セット面の役割
もし美容室に鏡がなかったら、いまどんなヘアスタイルになっているのかわからないわ
美容室に鏡があるのはなぜでしょう?それは当然
- お客様が、今のスタイリングの状況を把握するため
です。
しかしそれに加え、美容室の鏡には
- 美容師がスタイリングの全体像を正確に把握するため
- 美容師とお客様の目線を合わせ、コミュニケーションをとりやすくするため
- 美容師が美容室全体を把握するため
- お客様の眼鏡や荷物、雑誌、お飲み物を置いておくため
- 大きな鏡によって美容室を広く見せるため
など、さまざまな役割が存在しています。
美容室内装におけるセット面の重要性
こうした多様な役割を担っているからこそ、セット面はお客様の「店舗イメージ」を左右する重要な要素になるの
セット面は施術を受けるお客様の目線に最も長く触れる空間です。
そのため、お客様があなたの美容室での体験を思い出すときに思い浮かべる風景もまたこの「セット面を前にした風景」である可能性が高くなります。
つまりセット面は、お客様に与える「店のイメージ」を大きく左右する存在と言えるでしょう。
例えば美容室に苦手意識をもつお客様の中には、
- 美容室の鏡は顔が大きく見える
- 家に帰ると、美容室でのイメージと違って見える
など、セット面にまつわる不満を抱えるお客様もたくさんいることが知られています。
こうした不安を取り除く意味でも、セット面周り(特に照明や鏡の性能など)の印象は、十分な吟味を重ねて決定する必要があるのです。
セット面の入手方法
じゃあ、そのセット面ってどこで買えるのかしら?
専門店で購入するか、内装工事で合わせて作ってしまうのが一般的よ。
まずセット面については、大きく3つの調達方法があります。
- DIYで作る
- 既成の美容室用セット面を購入する
- 内装業者に造り付けのセット面を依頼する
セット面は極論してしまえばただの鏡と机のため、状況が許せばDIYで自作したり、家庭用として発売されている鏡やドレッサーを代用して使うのも一つの手と言えます。
しかし後述の通り、美容院においてのセット面とは単なる鏡ではないため、安い鏡や自作の鏡台ではお客様からのイメージダウンにつながる可能性が否定できません。
そういった意味では、多少値段が張ることになったとしても、専門店で購入できる既製品の美容室用カウンターを購入することをおすすめいたしまこの場合、5万円〜10万円程度(鏡だけなら1〜2万円)がセット面一台あたりの予算となりますす。
中古品であれば3万円を下回るものも少なくないため、居抜きで開業する予定の方にとっては最も有望な選択肢でしょう。
逆に内装全体の設計を設計者や施工業者にお願いしている場合、オーダーメイドのセット面や作り付けの鏡やカウンターを0から設置してもらうのも一つの手段です。
鏡及びその台座の価格は、その規模や条件の幅が広い上に発注も少ないことから、見積もりにはメーカーや設計者への問い合わせが必要なのですが、相場よりも安い価格での設計・設置を引き受けてくれるケースがあるためです。
セット面選びの注意点

次に、セット面を選ぶ際(あるいは設計する際)のポイントや注意点について解説します。
セット面の分類
セット面は、その形から大きく3種類に分類できるわ。
美容室のセット面は、
- 壁面タイプ
- ドレッサータイプ
- イーゼルタイプ
の3つが主流です。
壁面タイプは、その名の通り鏡面を壁面に貼り付けることで固定するタイプのセット面です。
空間を広く使えるほか、最も廉価な材料費・施工費で内装を仕上げやすいことから、多くの店舗で利用されています。
反面、店舗内のレイアウトやデザイン的なバリエーションが出しづらく、個性やデザイン性を発揮しずらい点がデメリットと言えるでしょう。
ドレッサータイプは、机や土台を設置し、その上に鏡を設けるタイプのセット面です。
空間内のあらゆる場所に鏡を設置できるほか、設置する台座のデザインにバリエーションを出しやすく、個性的なお店によく見られるタイプと言えるでしょう。
同じ面積あたりで配置できる座席数が壁面タイプに比較して減ってしまうほか、内壁のデザインや他の家具のデザインとの統一感も意識しなければならないことから、予算もセンスも問われるタイプと言えるのではないでしょうか?
イーゼルタイプとは、鏡をイーゼル(西洋画などを描く際にカンバスを立てかける台)の上に設置するタイプのセット面です。
鏡面が斜めを向いてしまうため、お客様の顔をしたからみたアングルしか確認できない点や、設置が不安定になりやすい点、高級感が出にくい点など、何かとデメリットの多い手法と言えるでしょう。
- 頻繁にセット面の位置を置き換える
- 将来的にもう一度内装工事を行う予定がある
- ラフなスタイルであることがコンセプトの美容院である
など、よほど特殊な条件でない限りおすすめできない設置方法です。
「散髪屋」「理髪店」は壁面タイプだから、
ドレッサータイプの方が特別感がある気がするわ。
店舗によっては、壁面タイプとドレッサータイプを併用するお店もあるわね。
いずれにせよ重要なのは、店内全体の内装コンセプトやデザインコードに合わせたデザインを採用することです。
たとえばアンティーク系の美容室であれば、重厚な装飾枠をもった雰囲気のある鏡が適切ですし、逆にモダン系の美容室であれば、シンプルでスリムなデザインの鏡が最適となります。
また、セット面に用いられる木や鉄などの材質を、店内の壁や床・他の什器の材質と統一することができれば、まとまりのある空間を作り出しやすくなります。
美容室における「鏡選び」の重要性
あと、大きな鏡ってとっても高いのね。
アクリル性の安い鏡で代用できないかしら?
残念、とこちゃん。その発想は、2つの意味で間違ってるわ。
あまり知られていませんが、じつは鏡にはさまざまな素材や工法が存在し、美容室に最適な鏡とそうでない鏡が存在します。
例えば鏡には、一般に流通しているガラスミラー(ガラスの片面に銀引し反射させる鏡)に対し、
- アクリル樹脂を用いたアクリルミラー
- ポリエステルフィルムを用いたフィルムミラー
など、用途に応じた複数の鏡が存在しています。
そしてフィルムミラーやアクリルミラーは、ガラスミラーに比べて軽量な上に衝撃に強いことから、「美容室の鏡の代わりになるのでは?」というご提案をいただくことがあります。
とくにDIYで鏡面を作る場合、設置の手軽さや強度の関係から、ガラスミラーは避けられる傾向にあると言えるでしょう。
ただし、アクリルミラーやフィルムミラー(及び一部の廉価なガラスミラー)は、厚みや強度が足りないことから鏡面に歪みが生じやすいという欠点があります。
表面の歪んだ鏡には、映し出された人の体型やスタイルを実物より細く/太く見せる恐れがあることから美容室には不向きとされています。
おまけにアクリルミラーやフィルムミラーは、同じ面積のガラスミラーよりも高価なのです。
えっ!アクリルミラーって、歪んで見える上にガラスミラーより値段が高いの?
そうよ。鏡に限らず、内装工事は思わぬものに思わぬ費用がかかるものね。
まとめ
美容室のセット面って、思っていた以上に奥が深いのね
本記事の要約
- 美容室の鏡やそれを支える台を「セット面」と呼ぶ
- 美容室のセット面は、お客様の目に最も長く触れるスペースである
- セット面の形やデザイン、鏡の種類は慎重に選ぶ必要がある。
以上、美容室におけるセット面について紹介してきました。
セット面まわりのデザインは、店舗全体の内装コンセプトやブランドイメージを引き受ける重要な役割が期待されているといっても過言ではありません。
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