美容室の2店舗目を計画する際に重要なこと

美容室の多店舗経営について

美容室の多店舗経営について

美容室余りと言われるこの時代に、2店舗目への拡大は不安が大きいわ……

オーバーストア状態かつスタイリストの人手不足が叫ばれる美容業界。
これから美容室を開業する人はもちろん、すでに美容室を有しているオーナーの皆様にとっても、いかにお客様やスタッフを確保するかという問題は死活問題と言えるでしょう。

一方で美容室経営において、一つの目標とされるのが2店舗目の開業
ただでさえ生き残りの難しいヘアサロン業界において、多店舗経営は一見自殺行為にも感じられます。
しかし、適切な目的意識と戦略を持った上であれば、多店舗経営は現代でも十分意義のある経営戦略と言えるでしょう。

この記事では、美容室の多店舗経営におけるポイントを取り上げつつ、失敗する多店舗経営と成功する多店舗経営の違いを考察していきます。

2店舗目の美容室を出店する3つの理由

2店舗目の美容室を出店する3つの理由

そもそも、美容師が2店舗目を構える目的を、整理してみましょう!

美容室の経営者がさらに事業を拡大し、別の美容室をオープンする理由は、大きく下記の3つに分類できます。

  • ①オーナー自身のため
  • ②スタッフのため
  • ③お客さんのため

以下一つずつ見ていきましょう。

①オーナー自身のため

一つ目の理由は、オーナー自身の希望や夢のためね

美容室経営は、理想と現実・希望と挫折の繰り返しばかり。
物件選びから業者選び、内装のデザイン方針に採用設備のグレード、ターゲット層の選定から雇ったスタッフとの人間関係に至るまで,さまざま意思決定を繰り返しては、その度に妥協を繰り返していくのが店舗経営というものです。

そのため、ある程度美容室の経営が安定し、経済面や収入面の不安が解消され始めると、往々にして

  • 「全てをリセットしてもう1店舗目を開業したい」
  • 「1店舗目の経験とノウハウを引き継げば、2店舗目はもっとうまくいくはず」

という欲が出てくるものです。

いえ、仮に現店舗になんの不満もない場合であったとしても、それはそれで

  • 「もっと自分の好みや哲学を反映させた、理想の店舗を作りたい」
  • 「今のノウハウや経験を活かして、もっと収益を増やしたい」

という願望が沸き立つのが人間というものでしょう。

よく言えば向上心や成長願望、身も蓋もない言い方をすればオーナーの欲望・野望。
こうしたオーナー自身の熱意やエネルギーこそが、2店舗目の美容室を開く第一の原動力と言えるでしょう。

②スタッフのため

第二の理由は、スタッフのモチベーションのためね

しかし1人の人間のみで二つの店舗を運営することはできませんから、どれほどオーナーの情熱があったとしても、スタッフがいなければ2店舗目の出店は物理的に不可能です。
逆に、優秀なスタッフが増えれば増えるほど、2店舗目の展開は現実的なものになってくると言えるでしょう。

  • セット面数に対してスタッフ数が増えてきた
  • 幹部候補生が育ってきた
  • 独立を支援したいが競合になられても困る

といった事情が生じた時、後進のモチベーションやキャリアを高める手段として、2店舗目を計画するケースは非常に多いと言えるでしょう。
スタッフの希望を叶えるための店舗拡大こそ、美容室が経営拡大を行う第二の理由と言えるでしょう。

③お客さんのため

なにより、今の店舗だけではお客様にご満足いただけないというのが、最大の行動理由ね

最後に重要となるのが、「お客様のために店舗を増やす」という視点です。

これは例えば、常連のお客様やリピーターのクライアント様が増えた結果、店が常時満席になっている状況などがわかりやすいでしょう。
美容室経営において、予約が入らないのは当然大問題なのですが、スケジュールに全く余裕や空きがない状況というのも困り物。
なぜなら、急なお客様への臨機応変な対応や、お店を取り仕切るスタッフの心の余裕なども、お客様の満足度を高める上では非常に重要なのです。

もしあなたのお店が、
「予約電話をかけてきたお客様を断らねばならないことが頻繁に発生する」
という状況なのであれば、今のお客様を分散させる形での別店舗の設置は大きな意味があります。

あるいは長くお店を運営している場合、お客様のライフスタイルの変化によって、お客様があなたのヘアサロンを「卒業」するケースが出てきます。
例えばあなたのお店が「10代後半〜20代前半の女性」をターゲットとする場合、進学や就職を理由にお客様のヘアスタイルの希望は大きく変わることでしょう。
この時、「20代〜30代前半向け」の別ブランドの店舗を経営していれば、そのお客さまを手放すことなくスムーズに別店舗に引き継ぐことができるでしょう。

こうした状況は、お店にとってもお客様にとってもメリットのある、多店舗経営の理想ともいうべきシチュエーションです。
店舗拡大の最後にして最大の理由は、「現状の店舗だけでは、質的にも量的にもご満足いただけなくなった。」という危機感にあると言えるでしょう。

失敗する2店舗と成功する2店舗目の違い

失敗する2店舗と成功する2店舗目の違い

以上、2店舗目の美容室を開業する理由を、大きく3つに分類して紹介してきました。
ただし分類といっても、2店舗目を開く理由というのは厳密にこの3種に分かれるわけではなく、それぞれの目的が入り混じった複合的なモチベーションによって行われるのが普通でしょう。

しかし、「なぜ2店舗目の開業を行うのか?」という目的や動機を整理し言葉にしておくことは、多店舗化の失敗を避ける上で非常に重要な意味があります。
なぜなら、失敗する多店舗経営の多くは、「①オーナー自身のため」の欲望を重視しすぎる傾向にあるためです。

例えば今の店舗を開業する際、予算が足りず立地や内装に納得がいかないままオープンしていたケースであっても、まずは今の店舗のリニューアルや引越しによる解決を検討すべきはずです。
しかしここでオーナー自身のこだわりや情熱が悪い方に暴走し、今ある店舗をリセットするような感覚で2店目を開いてしまうと、誰にも望まれない事業拡大となる恐れがあります。
「今の店舗ではお客様やスタッフにとって満足できないものである」という前提があり、それを補う手段として2店舗目を設置するからこそ、次の店舗も成功するのです。

いうまでもなく、経営の拡大においてあなた自身の意欲や野心は極めて重要な要素です。
しかし、オープンした店舗を存続させることができるかどうかについては、他ならぬお客様と店舗スタッフにかかっていることを忘れてはいけません。

なぜ次の店舗を設置するのかという目的意識をもつことこそ、「成功する多店舗経営」と「失敗する多店舗経営」を分ける大きな分水嶺なのです。

まとめ

大切なのは、
「今のお店で満足できない点はどこか?」
「それは、もう一つ店舗を増やすことで解決する問題なのか?」
という点をしっかり把握することなのね

本記事の要約

  • 生存競争が苛烈な美容室業界でも、多店舗経営は一つの戦略
  • 多店舗経営の際は、「今の店舗だけではお客様やスタッフのニーズを受け止めきれない」場合に有効
  • オーナー自身の情熱も重要だが、その勢いだけで事業を拡大するのは失敗の可能性大

2店舗目の展開は、技術者(プレイヤー)から経営者(マネージャー)へと、自分の役割が変わることも意味しています。
予算や時間の制約も自由度も、1店舗めの開業とは全く異なる状況とはなりますが、かつてはできなかったこだわりの内装やチャレンジングな経営にも挑戦できる大きなチャンスと言えるでしょう。


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