一人美容室の事業計画|売上ごとの収入・生活・やるべきこと
これから開業するんだけど、まだ先のことは考えられない。
売上いくらになったら、どういう生活ができるんだろう?
美容室の開業において、融資の際に、事業計画を求められますね。
でも、まだ開業もしていない美容室、そんな将来のことまで想像が難しいかもしれません。
そこで今回は、個人で美容室を経営する際の具体的な売上目標と、その売上だとどんな生活なのか、その時に何を考えるべきなのか、を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
個人で美容室を経営するときには「理想の生活」を想像しよう
個人で美容室を経営してしばらく経つと、自分の美容室が「何となくうまくいっている」「何となくうまくいっていない」程度にしか現状把握していないケースが、多々あります。
現状うまくいっていて、あなたの生活の満足度も高いのであれば、何の問題もありません。しかし、「何となくうまくいっていない」状態が続いたり、「うまくいっているはずなのに、生活の満足度が高くない」場合、少し立ち止まって、考える必要があります。
今回は、分かりやすい基準として、「売上」ごとに、生活・経営のイメージをまとめました。既に経営されている方は勿論、これから美容室を開業される方に読んでいただいて、具体的にイメージして頂ければ幸いです。
収入ごとの生活と経営イメージ
ここからは売上が増えると、「事業はどうなるか」「何を考えるべきか」「あなたの生活はどうなるか」について、解説します。分かりやすいように、できるだけ具体的に、実際の事例を元に(身バレ防止のため、フィクションを加えて)書いています。
事業所得が500万円、800万円、1,000万円、1,500万円、2,000万円の場合について、解説していきます。
いよいよ開業|事業所得目標500万(年収:375万円程度)
事業所得500万円って収入はいくら?
事業所得500万円の場合、年収は375万円。※一般的に、1人美容室の経費は20〜40%です。ほとんど外注せず、固定費のかからない体質で25%の経費率だとして計算。
美容師の平均年収が297万円(令和元年・賃金統計基本構造調査)ですから、平均的な美容師さんよりも良い生活ができている状態と言えます。
事業所得500万円を達成するには?
例えば、あなたのお店が、客単価8,000円だったとします。月に25日お店を開け、1日平均2人接客した場合に達成できます。
オープン当初から満員御礼の美容室なんてありません。人気の美容室は、「丁寧にブランディングを行い、丁寧に集客を行い、丁寧に施術を行う」。これを繰り返すことで成り立っています。
あなたが、まだ事業所得500万円を達成できていなくても大丈夫。美容室経営の方針さえ間違っていなければ、営業を続ける限り、必ずここは達成できます。まずは、お客さんが定着するまで、営業を続けること(美容室を潰さないこと)が大切です。
【事業所得500万円を目指す際に考えるべきこと】
- スモールスタート(1人美容室・個人事業主)として開業する
- 過剰投資をしない(必要な場所に必要な分だけ予算を配分する)
- 何でも自分でやってみる(外注しない)
- 固定費のかからない経営体質作り
1人で安定経営|事業所得目標800万(年収:600万円程度)
事業所得800万円って収入はいくら?
事業所得800万円の場合、年収は600万円程度。※一般的に、1人美容室の経費は20〜40%です。ほとんど外注せず、固定費のかからない体質で25%の経費率だとして計算。
美容師の平均年収が297万円(令和元年・賃金統計基本構造調査)、全業種の平均年収が307万円(令和元年・賃金統計基本構造調査)ですから、かなり恵まれた環境を整えられている状態と言えます。
事業所得800万円を達成するには?
例えば、あなたのお店が、客単価8,000円だったとします。月に25日お店を開け、1日平均3人接客した場合に達成できます。事業所得800万円が見えてくると、営業日は毎日予約が入り、ちょうどよく営業できてくる頃だと思います。一度、今後の方針について、考えてみるのが良いでしょう。
【事業所得800万円を目指す際に考えるべきこと】
- 今後も1人で営業していくのか?
- 予約ペースは、どれくらいがベストか?
- 店舗を拡大したいか/したくないか
- 人を採用するか/しないか
- 今かかっている手間の外出し(外注を考える)
法人化する?|事業所得目標1,000万(年収:600〜800万円程度)
事業所得1,000万円って収入はいくら?
事業所得1,000万円の場合、年収は600万円〜800万円程度。※一般的に、1人美容室の経費は20〜40%のため、単純計算。
美容師の平均年収が297万円(令和元年・賃金統計基本構造調査)、全業種の平均年収が307万円(令和元年・賃金統計基本構造調査)ですから、平均の倍以上の所得は得られている計算になります。
事業所得1,000万円を達成するには?
例えば、あなたのお店が、客単価8,000円だったとします。月に25日お店を開け、1日4人接客した場合に達成できます。事業所得1,000〜1,200万円は、1人美容室の限界と言えます。これ以上、規模を拡大したい場合は、人を増やすか、客単価を上げるしか方法はありません。ただし、客単価を上げると、これまでついていた顧客は離れてしまうため、「人を雇う」のが現実的な選択肢です。
【事業所得1,000万円を目指す際に考えるべきこと】
- 人を増やすか?
- 事業所得1,000万円を達成した1〜2年後から、消費税がかかる
- 法人化するか/しないか
- 法人化する場合は、税理士を探してみる
スタッフ採用|事業所得目標1,500万(年収:600〜900万円程度)
事業所得1,500万円って収入はいくら?
事業所得1,500万円の場合、年収は600〜900万円程度。※一般的に、1人美容室の経費は20〜40%から、人件費300万円を差し引き計算。
人を雇った前提で計算しています。人を雇うと人件費がかかるため、売上を上げないと手取りは減ることになります。1人美容室で細く長く続けていくのか、経営者としてやっていくのかは、あなたの目指したい生活次第です。経営者としてやっていくのであれば、この期間は、事業の成長・採用したスタッフの成長のための、種まき期間と捉えましょう。
事業所得1,500万円を達成するには?
例えば、あなたのお店が、客単価8,000円だったとします。月に25日お店を開け、1日6人接客した場合に達成できます。これは、スタッフを1人雇わないと難しいでしょう。1人スタッフを雇った場合、1人当たり3人/日、接客する計算になります。人を雇ってやっていくには、これまでの1人美容室経営とは別の、「経営スキル」が必要になります。良い人を採用できれば、あなたの圧倒的な味方になってくれることは間違いありません。
【事業所得1,500万円を目指す際に考えるべきこと】
- 人を雇った経営が必要
- あなたの「コンセプト」に共感してくれる人を雇うのが絶対必要
- あなたのお店をどうしていきたいかを、考えてみる
- 気ままな1人美容室経営を続けるか?
- 人を増やして、経営側にシフトしていくか?
事業拡大期|事業所得目標2,000万(年収:800〜1,200万円程度)
事業所得2,000万円って収入はいくら?
事業所得2,000万円の場合、年収は800〜1,200万円程度。※一般的に、1人美容室の経費は20〜40%から、人件費400万円を差し引き計算。
人を雇った2人体制での経営が安定し、軌道のに乗ってきた頃でしょう。ここまで来れば、経営者としても才能があると言えるでしょう。
事業所得2,000万円を達成するには?
例えば、あなたのお店が、客単価8,000円だったとします。月に25日お店を開け、1日8人接客した場合に達成できます。あなたとスタッフ1名で営業している場合、1人当たり4人/日、接客する計算になります。もし、スタッフが十分に育っている場合、「もう1人(合計2人)を雇って、あなたは経営に専念する」という選択肢が生まれます。
【事業所得2,000万円を目指す際に考えるべきこと】
- スタッフは十分に育っているか?
- あなたは今後も接客していくか/経営に専念するか
- 経営に専念したい場合は、スタッフ2人目を雇う
- 二店舗目を経営するか/しないか
- 現状のお店で予約を断らずに受けられているか(店舗面積の問題)
- 既存のお店を「卒業」してしまうお客様はいないか(サービスの質の問題)
二店舗目を経営するかしないかの判断基準については、下記で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
まとめ
今回は、個人で美容室を経営するために必要な目標設定と収入ごとの経営拡大ステップ例を解説しました。
本記事の要約
- 個人で美容室を経営するときには目標設定を大切にしよう
- 収入ごとの経営拡大ステップ例
①事業所得500万:スモールスタートで「潰れない」お店作り
②事業所得800万:自分が目指したい美容室を考える
③事業所得1,000万:事業方針の岐路(拡大する/しない)
④事業所得1,500万:人の採用・教育を行う
⑤事業所得2,000万:事業の自動化・二店舗目を検討する
「潰れない」お店作りについてお困りの方は、まずは優秀なデザイナーを探してみましょう。あなたにぴったりのデザイナーを見つけることができれば、大きな力になってくれるでしょう。