【完全版】一人美容室の経営で成功するための内装・資金計画・開業の流れ

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毎年1万軒が新規開業する美容室。でも、それと同時に毎年7千軒が廃業しているという現実があります。

そんな中、一人美容室を開業する場合、1人ではかけられるお金と時間には限界があります。大手の美容室と同じ方法で戦うのは無謀です。

そこで取るべきは、1人美容室だからできて、大手美容室には難しい戦略。

沢山のお客さんに「まぁまぁいい」と思ってもらうのではなく、特定のお客さんに「他の美容室ではなく、ここの美容室がいい」と思ってもらう戦略です。そのためには、お店のコンセプトを明確にして、そのコンセプトに共感した人にファンになってもらうことが必要です。

今回は、「特定のお客さんに、絶対ここの美容室に行きたい」と思ってもらえるお店作りについて、徹底解説します。

コンセプト設計|一人美容室の成功の鍵!

コンセプト設計とは?

コンセプト設計

コンセプト設計を行う場合は、いきなり図面を描いたり、既成の建材や壁紙の組合せで内装を決めることを辞めます。
まず、その人がどんな個性の持ち主で、どんなことが好きなのか。どんなお店にしたくて、何がお店の強みになり得るのか。から、イメージを膨らませ「世界に1つだけの物語」を作ります。そして、その物語のイメージを、空間に落とし込んで、唯一無二の店舗を作ります。

コンセプト設計の方法

●ブランドコンセプト

ブランドコンセプトは、まともなコンサルタントに依頼するとかなり高額になります。それに、せっかくの一人美容室なので、大衆受けよりも、あなたの個性や感性を生かした美容室の方が、愛着を持って営業できますし、経営している間もコンセプトが揺るがないため共感を得やすいでしょう。

これまで、どんな美容室をいいな、と思ったのか。どんな美容室を作りたいのか、マーケティングで一般的な「7W2H」を使って、シートを作成しました。こちらに、書き出してみましょう。

ダウンロードはこちら↓

上手に書けていなくても大丈夫!気持ちが伝われば、デザイナーがその気持ちに寄り添った「空間コンセプト」を設計してくれますよ。

●空間コンセプト

空間コンセプト設計は、デザイナーに依頼します。デザイナーは、インテリアデザイナーだったり、設計事務所にいるデザイナーだったり、様々なパターンがあります。

空間コンセプトとは、「その空間がどういう空間なのか」を一言で表したものです。

空間コンセプトの例

空間コンセプトは、ブランドコンセプトに沿いつつ、より具体的(映像が目に浮かぶ程度)で、ワクワクするものである必要があります。

コンセプト設計については下記の記事で詳しく説明しています。

また、コンセプト設計についてのご相談は、下記で承っております。

物件探し|ターゲットと物件規模は?

立地とターゲットを決める

20坪以下では美容室の内装デザイン相場はいくらかかる?

ここまでのコンセプト設計で、どんな場所で、どんなお客さんに向けて、どんなサービスをするのか。ブランドコンセプト設計で、大体イメージできていることでしょう。

次は、そのイメージをより具体的にして、物件の場所を決めます。

  • その場所って、具体的にどのエリア?
  • そのエリアに、ターゲットとするお客さんはいるの?
  • その人たちは、どうやって来るの?(徒歩?電車?車?)
  • そのエリアにライバルはいるの?

これを詳しく実施する場合、「商圏分析」や「ペルソナ設定」を行うことになります。商圏分析やペルソナ設定については下記で詳しく説明しています。

理想の生活から物件規模を考えよう

1人美容室の場合、大体の方が、10坪〜15坪の物件を選択します。(より広いレンジで言うと、9坪〜20坪くらい)

物件の広さを決める際に、考えるべきことは「将来どのくらい稼ぎたいか」です。広さによって、セット面とシャンプー台の数が変わってきます。セット面とシャンプーの台数が変わってくると、利益の最大額が変わってきます。

利益を最大化したい大企業と違い、一人美容室の経営ですから、どのようなスタイルで営業していきたいかはあなたが決めるべきです。どのくらいの規模の美容室で、どのくらいの収入になるかは、下記の記事で解説しています。

資金計画|予算配分と融資をどうする?

物件の場所を考えよう

物件の広さと場所が決まったら、物件の相場が決まります。自分の作ったコンセプトのターゲットとなるお客さんが、どのような手段で来店するのか、考えて場所を決めます。

  • エリアはどこか?(相場はどのくらいか?)
  • ターゲットのお客さんの交通手段は?(駅からの徒歩分数・駐車場の有無)
  • ターゲットのお客さんは、どのようにあなたのお店を見つけて初来店するのか?(路面店?裏路地?・一階?2階以上でもOK?)

内装工事の相場を知ろう

物件の広さが決まれば、内装工事の相場が決まります。

標準的な金額で予算を組む場合、10坪:500万円、15坪:750万円、20坪:1,000万円、で見積もっておくのが良いでしょう。こだわりたい場合や、格安で済ませたい場合は、下記の記事の坪単価を参考に、予算を出してみてください。

また、上記金額は、スケルトン物件の場合ですが、居抜き物件の場合はもう少し安く内装工事費用を見積もることができます。

予算配分をしよう!

参考:予算配分の方法

物件と内装工事の相場が決まったら、予算を組みましょう。予算の組み方は下記の記事を参考にしてみてください。

その際、下記を具体的にしていくと、より現実的な開業プランになっていくでしょう。

  • どれだけの設備が必要か?
  • 運転資金がいくら必要か?
  • 開業までにいくら貯金できるか?

契約|内装業者・物件・融資

内装業者探し・見積もり

美容室内装施工事例
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内装業者は、4種類あります。

  • 工務店
  • 設計事務所
  • 建築家
  • インテリアデザイナー

それぞれに得意なことと苦手なことがありますので、あなたの予算感に応じて、どこに依頼するか考えてみるのが良いでしょう。

また、例えば、同じ「設計事務所」と一口に言っても、それぞれにデザインの特徴が異なります。簡単に言えば、ナチュラル系のデザインが得意な会社と、モダン系のデザインが得意な会社では、同じ要望を出したとしても、仕上がってくるデザインは全く異なってくるのです。

本サイトでは、好きな美容室のデザインを沢山集め、あなたの好きな美容室をデザインしているデザイナーに頼むことをおすすめしています。そうすれば、「10社に相見積もりしなきゃ」や「質の低い業者に頼んで、失敗した」なんていう悩みはなくなります。

もし、あなたにぴったりの美容室内装業者が見つからなくて困っている場合は、ご紹介も可能ですので、お気軽にお問合せください。

物件|現地調査・仮契約

契約前の段階で、現地調査をします。現地調査には内装業者に同行してもらうようにしましょう。物件の現地調査で確認すべき点は、下記の通りです。

  • ターゲットのお客さんが来やすい立地か?(集客はに有利か?)
  • 計画していた数の、セット面・シャンプー台は置けそうか?(広さは十分か?)
  • 美容室開業に必要な設備がどの程度整っているか?(内装にいくらかかりそうか?)

物件仮押さえの際はいくつか、物件オーナーさんと必ず交渉すべき事柄があります。

  • 仮押さえに、手付金が発生する場合 →交渉次第で発生しなくなることもある
  • 契約後、開業準備期間中から家賃が発生する場合 →交渉次第で減額・減免できることもある

融資契約

●一人美容室の開業で使える融資制度

物件の仮契約で、「家賃」と「初期費用」が決まります。これをもとに、事業計画書を書き、融資申請・契約を行います。一人美容室の開業で使える融資は下記の通りです。

  • 生活衛生貸付「一般貸付」
  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 振興事業貸付
  • 創業関連保証
  • 創業等支援資金
  • 新事業創出資金
  • 中小企業経営力強化資金

上から順番に、条件が良い(金利が低い)順に並べています。ただし、条件が合わないものもあると思うので、上から順にチェックして当てはまるかどうかを確認してみてください。

●自己資金はいくら必要?

日本政策金融公庫の創業融資の「新たに事業を始める方」の自己資本要件では、「借り入れ希望額の1/10以上」です。100万円がある場合、900万円が借りられる(※必ず借りられる訳ではありませんが。)ことになります。親族からの援助が「自己資本」になるかどうかは金融機関によって判断が別れますから、クリアなお金であることを見せられるように、早い段階からコツコツ銀行口座にお金を積み立てていくのが理想です。

物件本契約・内装業社契約

融資が通ったら、物件の本契約・内装業者の契約を行います。

不動産会社が「内装業者を紹介しますよ」と言う場合もありますが、内装業者から紹介料をもらっているケースがほとんどです。節約したい場合や、内装にこだわりがある場合は、自分で内装業者を探した方が良いでしょう。

店舗作り|いよいよ開業に向けた正念場

<仕組み作り>営業の仕組み・集客の仕組み

営業の仕組みでは下記を考えます。

  • メニュー作り
  • 価格設定
  • 決済の方法(クレジットカードは?/お金は?)
  • 予約システムの導入(電話?/ネット?/媒体は?)
  • スタッフ採用(最初から採用する場合)
  • 店名・ロゴの決定
  • ショップカード等の印刷物作成
  • インターネット契約
  • WiFiの設置

集客の仕組みでは下記を考えます。

  • SNSの実施有無
  • ホームページ制作
  • WEB媒体(ホットペッパービューティなど)への掲載
  • ターゲット層への告知(チラシ制作・ポスティング・メディア露出)

ロゴ・看板・ホームページなどは、自分で作ったり、外注することが可能です。手間を減らしたい場合は、設計事務所のデザイナーにまとめて依頼することもできますので、方針と予算によって、早めに考えるのがおすすめです。

<内装作り>・デザイン決定・施工・引き渡し

作ってもらった空間コンセプトと見積もりをもとに、デザインを決定し、内装を施工してもらいます。保健所の審査と消防の検査は、あなた自身が行う必要があります。図面ができた段階で、事前確認を行うことができますので、確認の上、施工に入ってもらいましょう。

引き渡しの際には、必ず立ち会い、気になる場所がないかチェックします。あればその場で指摘し、直してもらうようにしましょう。

<什器・備品の購入・設置>受付カウンター・セット面・備品

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 ©️スタジオすむとこ施工事例_受付カウンター(東京 杉並区 高円寺)※画像の無断転載を禁止します

受付カウンターやセット面は、内装業者に頼むことがほとんどでしょう。備品は自分で購入します。備品は早すぎても工事の邪魔になり、遅いとオープンに支障をきたします。内装業者とスケジュールをきちんと握り、到着日指定で届くようにしておきましょう。そうすることで、到着してすぐに収納・使用でき、スムーズなオープンが行えるようになります。

備品は下記でリスト化してありますので、参考にしてみてください。

オープン|安定した経営に向けて

オープン直前の準備

オープン前にはバタバタします。やることに漏れがないか、実際にシュミレーションして確認してみましょう。やるべきことのリストを、下記に記載していますので参考にしてみてください。

オープン

オープンの方法は、オープニングパーティを実施する、サイレントオープンする、などの方法があります。どんなオープン方法があなたの美容室のコンセプトに最適か、考えてオープンしましょう。

また、開業後は1〜2ヶ月以内に開業届を税務署に出しましょう。同時に会計ソフトを契約しておくと、スムーズに経費精算・確定申告できます。やよいオンラインだと、1年間無料で使用できますから、とりあえず契約してみても良いでしょう。

オープン後の見直し

経営に失敗する原因は、①客不足、②スタッフ不足、③現金不足、のいずれかです。逆に、これさえ回避できれば、美容室は絶対に失敗しません。また、これに加えて、コンセプトを明確にした美容室を経営することで、あなたの一人美容室経営は、盤石なものになります。

オープンした後、定期的に下記を見直すことで、理想的な美容室経営を続けていってください。

  1. 十分に集客できているか?
    • 新規/コンセプトに共感したお客様に美容室の存在が届いているか?
    • 既存/来て頂いた際に、コンセプトが伝わっているか?リピーターになってもらえているか?
    • 設定した金額以上の価値が提供できているか?
  2. スタッフは確保できているか?
    • 自分のイメージ(コンセプト)を共有できるスタッフが確保できているか?
    • スタッフは定着しているか?
  3. 現金は十分か?
    • 1ヶ月お店を運営するために必要な金額、は把握できているか?いくら?
    • 1〜3月分の運転資金を手元に残せているか?
    • 残せていない場合、原因は何か?
      • そもそも売上が少ない?(原因は、顧客単価?回転率?)
      • 経費率は適正か?
      • 後から入る売上が多すぎないか?(クレジットカードなど)

まとめ

コンセプトを明確にして、そのコンセプトに共感した人にファンになってもらい、「特定のお客さんに、絶対ここの美容室に行きたい」と思ってもらうことが、一人美容室成功への1つの方法です。

本記事では、「コンセプトを作りこむ」戦略を前提とした、一人美容室開業の流れを解説しました。

弊社、Studio.Sumutoco(スタジオすむとこ)では、「コンセプト設計」を得意とした、美容室内装作りを行っています。これから美容室を開業したい、美容室をリニューアルしたい方は、是非下記のボタンからお問い合わせください。

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