美容室におすすめな壁材の種類は?|壁紙・塗装・左官・タイルなど
美容室における壁材
壁は内装のインパクトを大きく左右する要素の一つ。それは美容室でも同様です。
でも、美容室の壁材って、どうやって選べばいいの?
部屋の中で一番面積が広くなる壁。
その壁にどのような色や素材を採用するかという点は、インテリアのイメージを左右する重要なポイントです。
デザインはもちろん、汚れが落ちやすい、お手入れがしやすい、カビや匂いを防ぐなど、機能性にも着目が必要です。
この記事では、これから美容室を開業したいとお考えのみなさまにむけて、美容室の内装における壁材選びの注意点やポイントをご紹介いたします。
美容室での壁材選び
まずは、ヘアサロンの内装設計において、壁材のどのような点に注目すればいいのかを整理してみましょう。
もっとも重要なのは「清潔感」
ヘアサロンにおいて「汚い」「古い」「臭い」などのイメージは、最も避けなければならないポイントです
壁紙に限らず、美容院における内装設計で一番重要なのはこの「清潔感」といっても過言ではないでしょう。
ヘアサロンにおいて「汚さ」の印象を与えてしまった場合、時には飲食店以上にブランドイメージに致命的なダメージを与えてしまいます。
ここで重要なのは、たとえ毎日掃除をしていたとしても、
- 壁紙が剥がれていたり日焼けしている
- 色選びのセンスが悪く、煩雑な印象を与える
- 柄の取り合わせが古く、時代遅れ
など、衛生面とは直接関係のない要素でさえ「汚い」というイメージを与えかねない点です。
そのため美容室の壁選びでは
- 日光や湿気で劣化しにくい
- 爽やかさやシンプルさを感じられる色合い
- 汚れをはじきやすく、拭き掃除も楽
などの要素を持つ壁であることが重要となります。
(シャンプー台まわりやお手洗いなど、水がかかりやすいエリアは特に注意が必要となります)
コンセプトに則したデザインを
次に大切なのは、その素材が什器や床材、あるいは店全体のコンセプトに合っているかどうかです。
次に重要になるのは、その壁紙が店全体の雰囲気を損ねないかどうかです。
例えば、【床:コンクリート+壁:壁紙】の組合せだったとしても、壁紙の雰囲気を変えることで
- 真っ白で素材感のないプレーンな壁紙→モダンでシャープ
- ベージュにちかく、土や繊維に近い壁紙→ナチュラルテイスト
- グレー味を帯びて、タイルや石材に近い壁紙→シックで高級感
なイメージを与えられるなど、その取り合わせ次第でさまざまな形にイメージをコントロールできます。
逆に、単体でどれほどおしゃれな壁紙でも、そのテーマが他の什器や家具とマッチしていなければ違和感のある内装になってしまうでしょう。
もちろんコストも重要なポイントに
でも、やっぱりコストは抑えたいわ
しかし当然、機能性もデザイン性も優れた壁材というものは、その分値段も相応のものとなりがちです。
近年では、各メーカーの努力の甲斐もあり、高品質ながら低価格な商品もたくさん出ておりますが、「見た目」「機能」「コスト」の3点全てを達成するのはなかなかに困難です。
そこで重要になるのは、
- 「自分はどこに拘りたいのか?」
- 「どこの部分なら妥協できるのか?」
という点を明白にすること、そしてその要望に則した素材を選択することにあると言えるでしょう。
そこで次の項目では、美容室の壁として採用されやすい内装材を取り上げつつ、そのメリットデメリットを紹介していきたいと思います。
美容室におすすめの壁紙・壁材
前項では、壁材選びは「清潔感(性能)」「デザイン」「コスト」が大切とご紹介いたしました。
この項では、どのような内装材にどのような特徴があるのかをご紹介したいと思います。
壁材①:壁紙(ビニルクロス・紙クロスなど)
もっともよく用いられる壁材は、やっぱり壁紙ね。
壁紙は住宅から店舗内装まで幅広く用いられる、もっとも代表的な壁材と言えるでしょう。
一般に安価で機能性にも優れており、デザイン性にも優れている万能型の素材と言えるでしょう。
後述する左官仕上げや木材・タイル材と比較するとどうしてもチープな印象は拭えませんが、近年の各メーカーによる製品開発により、本物の材質にそっくりなシート・クロス材も多数登場しています。
また、ややコストが上がってしまいますが、紙クロスや織物クロスなどの中には、独特の風合いや個性をもつものも登場しており、選択肢の幅は年々増えている状況です。
弱点としては、他の内装材に比較して経年劣化に弱く、結露や日焼けによる定期的な張替えが必要な点が挙げられます。また、低コストな壁紙でおしゃれにするのは、かなりデザイン技術を要する点も注意が必要です。
壁材②:塗装
壁紙と同じくらい、低価格。無限に色が作れるのが魅力ね。
塗装も、安価で壁に使用されやすい建材の1つです。また、調色(ちょうしょく)できるデザイナーがいれば、現地で唯一無二の色作りから行ってもらえるのも、魅力です。
DIYなどで自分で手を掛けたい方は、協力を得られる業者を探しましょう。ホームセンターの塗料は質が低いため、塗料の手配・養生の方法・塗装の方法を教えてもらい、手間と時間を惜しまなければ、最もDIY向きの材料です。
壁材③:左官仕上げ(漆喰・珪藻土・モルタルなど)
独特の風合いで高い人気をもつのが、この左官仕上げね
左官仕上げは、漆喰や珪藻土など「壁に塗りつける」タイプの建材です。
一昔前では「古くさい」イメージを与えかねない存在でしたが、近年では職人が現地で作る唯一無二性も相まって、個性的で風合いのあるおしゃれな内装材として高い人気を取り戻している材料です。
もちろん人気なのはデザイン性だけではなく、調湿性能や防音性能、消臭性能などにも優れており、室内の快適性を程よく維持する点が注目を集めています。
施工に時間もコストもかかる上、材質によっては掃除が難しいものもあるなどクセの強い仕上げ方法ですが、利用客の「居心地の良さ」を演出する上ではもっとも性能の高い建材と言えるでしょう。
建材④:板張り・タイル貼り
無垢材や化粧合板を壁面に張り付ける「木質系の仕上げ」や、陶磁器でできたタイルで仕上げる「タイル貼り」などは、コストがかかる分インパクトのある内装空間を実現できる優秀な内装材です。
これらの建材は多くの場合高級感や独特の風合いに強みを持つものも多く、性能面でも調湿・消臭効果をもつ製品も多数製造されています。
その値段とインパクトの強さから,すべての壁に一面に敷き詰めるといった使い方はあまりされず、(山小屋やお風呂みたいになってしまいます)ポイント使いすることで空間のアクセントとして利用するケースがほとんどです。
店舗によっては、開業時は廉価なビニルクロスで営業し、数年後に理想の材質にリニューアルするといった計画を立てるケースもあるわ。
おすすめは「左官仕上げ」の内装
結局、どの壁紙が最適なの?
小さな美容室やコストを抑えたい場合は、無地で廉価な壁紙でもOKよ。
でも、ここはあえて味わいのある「左官仕上げ」をオススメするわ。
このブログを運営している設計事務所studio.sumutoco(スタジオすむとこ)では、過去にもたくさんの内装を計画してまいりました。
そんな弊社の事例では、とりわけ左官仕上げの設計を数多くご提案してまいりました。
コストをほどほどに抑えつつもマテリアル感の強い左官仕上げは、弊社の掲げる「コンセプトリノベーション」のテーマに非常に親和性が高い施工と言えるでしょう。
左官仕上げの事例(モルタル造形)
こちらは、東京都杉並区高円寺の美容室の事例です。
一見レンガ造や石造の壁に見えるこちらの内装は、モルタル造形による仕上げとなっています。
(レンガや石に見える部分も全てモルタルで再現したものです)
左官仕上げの事例(漆喰)
こちらは神奈川県にある住宅設計の事例です。
左官仕上げ特有の脱臭・湿度調整性能が魅力なのはもちろんのこと、時間が経つにつれて独特の艶が出る素材感や、職人の手作業による唯一無二の模様が大きな魅力です。
この空間が元は和室だったとは気づけないほど、イメージが刷新されていることがわかるかと思います。
塗装仕上げの事例
最後に、塗装仕上げの事例もご紹介いたします。
こちらは石と鉄をテーマとした美容室。
それらの質感を強調するために、壁面は真っ白でモダンな塗装仕上げとなっています。
まとめ
壁紙や壁材を工夫するだけで、内装のイメージは大きく変わるんだね。
本記事の要約
- 美容室の壁紙選びは、まずは「清潔感」を維持するのが最優先。
- 「壁紙」「左官仕上げ」「板張り・タイル貼り」の性質を理解するのが重要。
- 「デザイン性」や「コスト」も加味しつつ、最適な内装材を選択する必要がある
以上、美容室における壁の仕上げについて紹介してきました。
髪の毛や薬剤で汚れる床面と異なり、美容室の壁は比較的素材の自由度も高く、最低限の清潔感さえあればコストの融通も効きやすい部位と言えるでしょう。
そのため、什器や床材などより重要で制約の大きいデザインを決定した後で、それに合わせて色味や質感を選ぶと、内装にも統一感がでて失敗しにくくなります。
こだわりの内装を実現できる美容室の設計でお悩み方は、ぜひstudio.sumutoco(スタジオすむとこ)へご相談ください。
以下のフォームから、お待ちしております!