美容室におすすめな壁材の種類は?おしゃれに差がつくデザイン&壁材ガイド【プロ監修】
美容室の壁、何を選ぶ?印象とブランドイメージを決める“背景”の力

美容室の内装デザインを考えるうえで、壁は単なる背景ではありません。
「おしゃれ」「清潔感」「落ち着き」「特別感」など、サロンが届けたい印象をもっとも端的に伝えるのが“壁”なのです。
たとえば…
- 壁紙の色や質感で、ナチュラル感や高級感を演出できる
- アクセントウォールを活用すれば、インスタ映えする撮影スポットに
- 素材の選び方によって、居心地やリラックス効果にも影響が出る
- 汚れが落ちやすい、お手入れがしやすい、で清潔感に差が出る
顧客の心をつかむ空間に仕上げるには、「どんな素材を」「どの場所に」「どんな風に」使うかがポイントです。
この記事では、これから美容室を開業したいとお考えのみなさまにむけて、美容室の内装における壁材選びの注意点やポイントをご紹介いたします。
美容室での壁材選びのポイント

まずは、ヘアサロンの内装設計において、壁材のどのような点に注目すればいいのかを整理してみましょう。
もっとも重要なのは「清潔感」
ヘアサロンにおいて「汚い」「古い」「臭い」などのイメージは、最も避けなければならないポイントです
壁紙に限らず、美容院における内装設計で一番重要なのはこの「清潔感」といっても過言ではないでしょう。
ヘアサロンにおいて「汚さ」の印象を与えてしまった場合、時には飲食店以上にブランドイメージに致命的なダメージを与えてしまいます。
ここで重要なのは、たとえ毎日掃除をしていたとしても、
- 壁紙が剥がれていたり日焼けしている
- 色選びのセンスが悪く、煩雑な印象を与える
- 柄の取り合わせが古く、時代遅れ
など、衛生面とは直接関係のない要素でさえ「汚い」というイメージを与えかねない点です。
そのため美容室の壁選びでは
- 日光や湿気で劣化しにくい
- 爽やかさやシンプルさを感じられる色合い
- 汚れをはじきやすく、拭き掃除も楽
などの要素を持つ壁であることが重要となります。
(シャンプー台まわりやお手洗いなど、水がかかりやすいエリアは特に注意が必要となります)
コンセプトに則したデザインを
次に大切なのは、その素材が什器や床材、あるいは店全体のコンセプトに合っているかどうかです。
次に重要になるのは、その壁紙が店全体の雰囲気を損ねないかどうかです。
例えば、【床:コンクリート+壁:壁紙】の組合せだったとしても、壁紙の雰囲気を変えることで
- 真っ白で素材感のないプレーンな壁紙→モダンでシャープ
- ベージュにちかく、土や繊維に近い壁紙→ナチュラルテイスト
- グレー味を帯びて、タイルや石材に近い壁紙→シックで高級感
なイメージを与えられるなど、その取り合わせ次第でさまざまな形にイメージをコントロールできます。
逆に、単体でどれほどおしゃれな壁紙でも、そのテーマが他の什器や家具とマッチしていなければ違和感のある内装になってしまうでしょう。
もちろんコストも重要なポイントに
でも、やっぱりコストは抑えたいわ
しかし当然、機能性もデザイン性も優れた壁材というものは、その分値段も相応のものとなりがちです。
近年では、各メーカーの努力の甲斐もあり、高品質ながら低価格な商品もたくさん出ておりますが、「見た目」「機能」「コスト」の3点全てを達成するのはなかなかに困難です。
そこで重要になるのは、
- 「自分はどこに拘りたいのか?」
- 「どこの部分なら妥協できるのか?」
という点を明白にすること、そしてその要望に則した素材を選択することにあると言えるでしょう。
そこで次の項目では、美容室の壁として採用されやすい内装材を取り上げつつ、そのメリットデメリットを紹介していきたいと思います。
美容室におすすめの壁材5選|素材別に特徴と注意点を解説
前項では、壁材選びは「清潔感(性能)」「デザイン」「コスト」が大切とご紹介いたしました。
この項では、どのような内装材にどのような特徴があるのかをご紹介したいと思います。
壁材①:壁紙(ビニルクロス・紙クロスなど)

もっともよく用いられる壁材は、やっぱり壁紙ね。
壁紙は住宅から店舗内装まで幅広く用いられる、もっとも代表的な壁材と言えるでしょう。
一般に安価で機能性にも優れており、デザイン性にも優れている万能型の素材と言えるでしょう。
後述する左官仕上げや木材・タイル材と比較するとどうしてもチープな印象は拭えませんが、近年の各メーカーによる製品開発により、本物の材質にそっくりなシート・クロス材も多数登場しています。
また、ややコストが上がってしまいますが、紙クロスや織物クロスなどの中には、独特の風合いや個性をもつものも登場しており、選択肢の幅は年々増えている状況です。
弱点としては、他の内装材に比較して経年劣化に弱く、結露や日焼けによる定期的な張替えが必要な点が挙げられます。また、低コストな壁紙でおしゃれにするのは、かなりデザイン技術を要する点も注意が必要です。
壁紙のメリット・デメリット
メリット:
- 豊富な色柄から選べる
- 比較的安価で施工が早い
- 撥水・防カビなどの機能付き製品も多い
デメリット:
- 経年で継ぎ目や汚れが目立ちやすい
- 高級感にはやや欠ける場合あり
壁材②:塗装

壁紙と同じくらい、低価格。無限に色が作れるのが魅力ね。
塗装も、安価で壁に使用されやすい建材の1つです。また、調色(ちょうしょく)できるデザイナーがいれば、現地で唯一無二の色作りから行ってもらえるのも、魅力です。
DIYなどで自分で手を掛けたい方は、協力を得られる業者を探しましょう。ホームセンターの塗料は質が低いため、塗料の手配・養生の方法・塗装の方法を教えてもらい、手間と時間を惜しまなければ、最もDIY向きの材料です。
塗装のメリット・デメリット
メリット:
- シームレスで空間に一体感が出る
- カラーカスタマイズが自由自在
デメリット:
- 傷や汚れがつきやすく、補修しづらい
- 下地処理に技術が必要
壁材③:左官仕上げ(漆喰・珪藻土・モルタルなど)

独特の風合いで高い人気をもつのが、この左官仕上げね
左官仕上げは、漆喰や珪藻土など「壁に塗りつける」タイプの建材です。
一昔前では「古くさい」イメージを与えかねない存在でしたが、近年では職人が現地で作る唯一無二性も相まって、個性的で風合いのあるおしゃれな内装材として高い人気を取り戻している材料です。
もちろん人気なのはデザイン性だけではなく、調湿性能や防音性能、消臭性能などにも優れており、室内の快適性を程よく維持する点が注目を集めています。
施工に時間もコストもかかる上、材質によっては掃除が難しいものもあるなどクセの強い仕上げ方法ですが、利用客の「居心地の良さ」を演出する上ではもっとも性能の高い建材と言えるでしょう。
左官仕上げのメリット・デメリット
メリット:
- 無機質・インダストリアル・ナチュラル系まで幅広く対応
- 調湿・消臭機能あり
- 一点ものの質感が出せる
デメリット:
- 施工コストが高め
- クラック(ひび割れ)のリスクあり
建材④:タイル貼り

陶磁器でできたタイルで仕上げる「タイル貼り」などは、コストがかかる分インパクトのある内装空間を実現できる優秀な内装材です。
これらの建材は多くの場合高級感や独特の風合いに強みを持つものも多く、性能面でも調湿・消臭効果をもつ製品も多数製造されています。
その値段とインパクトの強さから,すべての壁に一面に敷き詰めるといった使い方はあまりされず、(山小屋やお風呂みたいになってしまいます)ポイント使いすることで空間のアクセントとして利用するケースがほとんどです。
タイル貼りのメリット・デメリット
メリット:
- 高級感や重厚感を演出
- 汚れ・水に強く、長寿命
デメリット:
- 施工費用・工期が長め
- 目地の清掃が必要
建材⑤:板貼り

無垢材や化粧合板を壁面に張り付ける「木質系の仕上げ」も、コストがかかる分インパクトのある内装空間を実現できる優秀な内装材です。この建材は多くの場合高級感や独特の風合いに強みを持つものも多く、特に腰高まで設置した「腰壁」と呼ばれるデザインは、様々な表現が可能です。
その値段とインパクトの強さから,すべての壁に一面に敷き詰めるといった使い方はあまりされず、(山小屋みたいになってしまいます)ポイント使いすることで空間のアクセントとして利用するケースがほとんどです。
壁の演出は“どの面”に使うかがカギ!部位別アイデア

部位 | 推奨壁材 | ポイント |
---|---|---|
セット面・セット面背景 | 左官/アクセントクロス | 顔まわりが映えるように明るさも考慮 |
シャンプーブース | 塗装/タイル/クロス | リラックスを妨げない落ち着きある仕上げに |
レセプション | タイル/木材/デザインクロス | 第一印象を左右する見せ場! |
美容室の壁|施工の費用目安と注意点

- ビニールクロス:1,200~1,800円/㎡
- アクセントクロス:2,000〜10,000/㎡
- 塗装仕上げ:2,000~3,500円/㎡
- 左官仕上げ:4,000円~6,000円/㎡
- タイル:5,000円〜15,000円/㎡
注意点:
- 別素材(例:ビニールクロス)→別素材(例:タイル)の場合は、下地調整の費用が必要
- 養生費・搬入費・設計費がかかることもあるので、内装業者に要確認
- 営業中の施工はブースごとに区切るなどの配慮を
- 防火対応・保健所チェックにも影響する素材選びを
よくある質問(FAQ)

Q1. 美容室の壁紙はどのくらいで張り替えるべき?
→ 5〜7年ごとが一般的です。水回りや出入口はもっと早く劣化しやすいです。
Q2. 壁材の組み合わせでNGなパターンは?
→ 壁全面を濃色・柄物で覆うと、圧迫感が出る場合があります。配色バランスが重要です。
Q3. おしゃれなサロンに見せたいなら、どの壁材?
→ モルタルや木目×くすみカラーのクロスなど、質感にこだわると効果的です。
まとめ|美容室の“壁”で差別化する空間づくりを

美容室の壁は、単なる仕切りや背景ではなく「ブランディングの武器」です。
素材、デザイン、配置の工夫次第で、サロンの印象は大きく変わります。
ぜひ、あなたのサロンコンセプトにぴったりの“壁”を見つけてください。
本記事の要約
- 美容室の壁紙選びは、まずは「清潔感」を維持するのが最優先。
- 「壁紙」「左官仕上げ」「板張り・タイル貼り」の性質を理解するのが重要。
- 「デザイン性」や「コスト」も加味しつつ、最適な内装材を選択する必要がある
以上、美容室における壁の仕上げについて紹介してきました。
髪の毛や薬剤で汚れる床面と異なり、美容室の壁は比較的素材の自由度も高く、最低限の清潔感さえあればコストの融通も効きやすい部位と言えるでしょう。
そのため、什器や床材などより重要で制約の大きいデザインを決定した後で、それに合わせて色味や質感を選ぶと、内装にも統一感がでて失敗しにくくなります。
こだわりの内装を実現できる美容室の設計でお悩み方は、ぜひstudio.sumutoco(スタジオすむとこ)へご相談ください。
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